ダスカー関係まとめ年表+おまけ

 この記事は以下の二つの記事の補足とおまけである。

 

kowa-moz.hatenablog.com

 

 

kowa-moz.hatenablog.com

 

 今になって見返してみたら誤字脱字勘違いなどが多発していたので訂正した。読んだ方すいませんでした。ついでに、記事内の考察を踏まえたダスカー関係の年表を作ってみた。さらにちょっとおまけとして気になった点を書いたが、ほんとーにただの思考整理で考察にはなっていないので気を付けてほしい。

 

 

年表

年度が特定できない(前後2~3年)ものは※をつけている。

 

1162  エーデルガルト、ディミトリ誕生

1164  妹の病死を機に、ハンネマンが帝国貴族の爵位を返上する。

     リシテア誕生

     王国内で疫病が流行し、ディミトリの生母(王妃)が死亡※

1165  ハンネマンが帝国を出奔し、ガルグ=マクの士官学校の教師に。

     コルネリアが帝国から王国へ渡り、都市の整備を進言して疫病問題を解決、宮廷魔導士として重用される※

1166  パトリシアが王国に渡り、ランベール王に見初められて結婚する※

     (同時期?)コルネリアが闇うごに乗っ取られる※

1167  コーデリア家がフリュム家の内乱に巻き込まれ帝国の介入を受ける。

1168  ハピが隠れ里から出たところをコルネリアにさらわれ、魔道の実験台となる。

1171  七貴族の変。皇帝が権力を奪われ、フェルディナントの父親が権力を握る。

    エーデルガルトが伯父アランデル公に連れられ、王国へと亡命する。

1174  アランデル公がタレスに乗っ取られる。

    エーデルガルトがアランデル公と共に帝国に戻る。

1176  ダスカーの悲劇。国王ランベール、フェリクスの兄グレンほか多数死亡。

    国王一行のうち、ディミトリが生き残り、パトリシアは失踪。

    ハピが解放され、ファーガスの教会で暮らす。

    アッシュの義兄クリストフがセイロス騎士団によって処断。

    ダスカー征伐。ドゥドゥ―がディミトリの従者になる。

1180  (4月)本編開始

 

 

おまけ:クリストフについて

 アッシュの義兄クリストフは、ダスカーの悲劇への関与を理由にセイロス騎士団に処断され、これが第一部6月のロナート卿の挙兵の原因になった(「五里霧中・青獅子の学級」)。

 アッシュとカトリーヌの外伝「ともに天を戴かず」では西方教会の残党狩りが行われ、西方教会の本部から見つかったロナート卿がらみの資料をアッシュが受け取る。この中身については、外伝クリアを条件に鑑賞可能になるアッシュ・カトリーヌ支援Cで語られる。

 そこには「クリストフ=アルド=ガスパール」の署名のある手紙が含まれていたが、内容はダスカーの悲劇についてではなく、レアの暗殺計画についてだった。同支援会話時のカトリーヌによると、クリストフはダスカーの悲劇には関与しておらず、あくまで「西方教会の口車に乗せられ」て、レアの暗殺計画を企てたがために処刑されたのだが、フォドラの混乱を防ぐため、表向きにはダスカーに関与したと発表された、ということらしい。

(あんまり関係ないのだが、EP3散策時のジェラルトが数年前にクリストフの依頼でガスパール城に行ったというのは、このごたごたに関わったということなのだろうか?記憶がうっすそうなところを見ると関係なさそうな気もするが……)

 

 一方、ロナート卿はアッシュの言動のもろもろからわかるように人格者であり、さらにディミトリとの戦闘会話を見る限り、王家との仲は悪くなかったようだ。ロナートは刃を交えることを詫び、ディミトリは「貴公の悲憤、察するに余りある。貴公を討つのは本意ではない」と言う(でも討つ)。

 

 このロナート卿の挙兵の動機、実はそう単純ではなく、いくつかの内容が絡み合っているように見える。

 挙兵の目的自体は、翌節の西方教会の窃盗(強盗)?を成功させるための陽動で間違いないだろう。戦力差はひっどく、誰がどこからどうみても無謀な挙兵だったようなので、そのまま真っ向から戦争して教会に勝とうとしていたとは考えにくい。翻っていえば、反乱は失敗し、一旦は自軍が敗北することを織り込み済みなわけで、そこには相当数の自軍の死が当然含まれることになる。つまり、民思いのよき領主だったロナート卿が、大事な領民を犠牲にしてもよいと思うだけの理由か、あるいは領民の方に、犠牲になってもよいと思えるだけの理由があったわけだ。

 

 作中、青以外のルートやアッシュの支援会話なしでわかる内容からすると、ロナート卿の挙兵の理由はざっくり言うと宗教絡みである。現在の中央教会は女神の意に反しているから、世のため民のため、どのような犠牲を払っても、女神の名を騙る背信者であるレアを討つべきだ、というもの。ロナート卿の戦闘会話(VSアッシュ、VSディミトリ)はそのものずばり、この動機を述べている。民兵の方はどちらかと言うと、敬愛する殿様があいつは悪だ討たねばならんとおっしゃるので、領主様を守るために突撃している、という風情で、どこまで理解しているんだか定かでないが。

 そして、中央教会が背信者だという考えを吹き込んだのは西方教会で間違いない。ではロナート卿はなぜ、その考えを確信に変えたのだろうか。

 確かにロナート卿は実の息子を教会に処刑されている。まあ殺されたんだから憎くて当然だよね……とおも……思えるだろうか?

 クリストフはレア様の暗殺計画を企てていた。それを理由に処刑された。これだけ見ると、クリストフが処刑されるのは当然だ。だってレア様は中央教会のトップなのだ。トップを暗殺しようとするやつを生かしておけるわけがない。もはや今生に救いはありませんするほかないのである。話し合いで解決すべき?相手がまず話し合いを放棄して暗殺とかいうクリティカルな暴力に頼っているのに話し合いとかむりむりかたつむりに決まっていることは小学生でもわかる。右の頬をぶたれたくらいなら左の頬を差し出してもなんとかなるかもしれないが、左胸を刺し貫きに来られたら右胸を差し出す余裕はないのだ。貴様はすでに死んでいる。

 つまり、クリストフを殺したからレア様は背信者だ!という論理は、「背信者でないなら黙って殺されるべきor殺されそうになっても絶対に相手を殺さないべき」というなかなか共感しにくい論理に裏打ちされているのである。困難すぎんか?ましてや、仏教のように聖職者の殺生厳禁ならともかく、セイロス教は剣を振り回し戦の陣頭指揮をして戦い抜いたセイロス様に端を発する宗教なのである。ロナート卿がそれでもとにかく殺すなんて許せない!と思うような人だった、という可能性はあるのだが、ここではその可能性は無視する。

 もっとも、中央教会がレア様個人への敵対者に厳しいのは事実だろうし、レア様が教会運営についてはほぼ独裁なのは間違いない。善し悪しはおいておいて、それはレア様=セイロスであることを考えると(レア様の心情としては)当然なのだが、そのことを知らない人々にとっては「女神の名を騙って独裁を敷いている」と見ることも可能だろう。しかしそれだけで絶対レア様暗殺しないと、とまで思い詰めるだろうか?

 まあ、西方教会としては、そうやって思い詰めたのだと思う。たぶんそこまでには、レア様に楯突いて処刑された同胞や、宗教としてのセイロス教の思想の違い(例えばアビスの書庫に見られる技術発展の制限など)や、そういうのがおそらく絡んでいて、作中の描写からではいまいちわかりにくい(というかレア様が、首謀者でなくても関わったら皆殺しとか疑わしきは皆殺しとかそういうことをやったという描写があればわかりやすいのだが、作中ではこっちを殺す気で襲い掛かってくる連中をまとめて捕まえて処刑しているだけなのでどの程度独裁だったかが正直あんまりぴんとこない)。

 ロナート卿はそういう、今までの教会の暗部を西方教会から聞いて、レア様死すべしと考えた、というのはありそうな線だ。実際クリストフはそうだったのだろうし。

 しかしそうするとちょっと個人的にしっくりこないのが、ディミトリとロナート卿の戦闘会話だ。以下全文抜粋する。


ロナート「申し訳ありません、殿下……。あなたと刃を交えることになろうとは……」
ディミトリ「……ロナート卿。貴公の悲憤、察するに余りある。貴公を討つのは本意ではない、が…………すまない。」
ロナート「殿下……我が子のため、民のため、私は、ここで止まるわけにはいかぬのです。道を開けられぬと仰せならば、押し通るしか……!」

 これ。

 ディミトリは西方教会とつながりなんか当然ないので、教会の暗部的な情報は(察している部分はあるにしても)知らないはずだ。そうするとロナート卿が教会の暗部を知って挙兵した場合、自然な心情としては、「教会にはあなたの知らない暗部がいっぱいあるんですよー教会の味方なんかやめてー!」みたいなことを言いたくならないだろうか?ていうかディミトリ側だって、アッシュみたいに「どうしてこんなことを」と聞くのが自然である。実際、アッシュは義兄の件を知っているが、それでも「どうして」と聞いている。しかしディミトリは何も聞かない。教会を許せないロナート卿の心情を1から10まで理解している感じなのだ。

 

 そもそもロナート卿は高潔なひとがらっぽく、王家と仲も悪くなかったっぽい。そうすると、カトリーヌ曰く「ひとがよすぎた」クリストフが、国王を惨殺したダスカーの悲劇に関与したというのは、当時でもかなり不自然だったのではないだろうか。その上、今のダスカー人の処遇からすると、関与したと名指しされた人間が周囲からどんな扱いを受けたかは想像に難くない。ロナート卿が領主の地位を追われなかったので連座制にはされなかったのだろうが、卿自身への余波もずいぶんあっただろうし、卿が王家と親しければ親しいほど、よけいに息子が殺人者だと言われたのは堪えただろう。

 しかしそれは教会の、この場合はとくにレア様の支配基盤を揺らがせないための嘘だった。フォドラの混乱を招くと言えば聞こえはいいが、「今の」「中央教会の」支配に疑問を抱くものがいるという事実を隠ぺいするために、クリストフは国王一家殺害の犯人という濡れ衣を着せられたのだ。

 もちろんレア様の暗殺を企てたのだってとんでもない行いで不名誉には違いないし、それはそれで王国と教会の関係だとかいろいろなところに問題が生じただろうが、それでも事実であり、クリストフが責任を負うべきクリストフの行動の結果だ。だが、ダスカーの関与者という不名誉はちがう、その点でクリストフは、まさに「レアによる教会支配」の犠牲になったのだ……と、ロナート卿は考えたのではないだろうか。

 実はクリストフの手紙が見つかったのは西方教会の本部なので、ロナート卿がどの時点で、どこまでを知っていたのかは定かでない。ただ少なくとも、本編中の挙兵時には、クリストフがダスカーに関わっていないことは知っていたか、もともと確信していただろう(でないとディミトリの前でカトリーヌに向かって裏切り者の狂信者とは言えまい)。

 要するにロナート卿は、息子を処刑されたことではなく、死後息子が濡れ衣を着せられたことから、教会を憎むようになり、同時にクリストフのような「犠牲」を産む教会は倒さなければならない、という「正義」をもつに至ったのではなかろうか。民兵たちも、当然クリストフのひとがらは知っているだろうから、そりゃ教会は間違っていると思っても不思議はない。

 そしてディミトリも、クリストフの本当の罪状はともかく、彼が本当はダスカーの悲劇に関わっておらず、教会によって都合よく犯人に仕立て上げられたことについては、知っていたか確信していた。カトリーヌとクリストフは士官学校の同級生だったらしいので、世代的に王宮に来たことがあってもおかしくはないし、ディミトリークリストフ間も面識があり、そのひととなりをある程度知っていたのかもしれない。とにかくディミトリはクリストフが濡れ衣を着せられたことはわかっており、そのことをロナート卿にも伝えていたのだろう。当然ロナート卿の悲憤も理解できるし、彼の掲げた「正義」も理解できた。だからこそ、戦闘終了後に、「こうして彼らを斬って捨てずとも、なにか別の方法で理解し合えたのではないか」と言うのだろう。

 ただまあ当然、クリストフの処刑とその理由の隠蔽工作には、教会側から見ればきちんと合理的な理由があるわけで(セイロス教会にはフォドラ全土にまたがる治安維持機構としての側面があり、それが揺らぐことにはもちろん相応のデメリットがつきまとう)、そういう意味では教会側にもきちんと「正義」はある。そしてディミトリはそれをわかっているからこその、「すまない」だという側面もあるだろう。

 

……というようなことを長々と考えて、ようやくロナート卿の挙兵の理由がなんとなくわかったような気がしないでもないのだが、どうなの……かな……?このへん考察している人がいないのか、普通考察するまでもなく当然わかるのか、探し方が甘くて考察が見つからないのか、気になるところである。